2015年9月19日土曜日

個別の技術や特定の製品の使用可否の判断の考え方,手順について〜「LiPoバッテリの扱い」をケーススタディとして

個別の技術や特定の製品の使用可否の判断の考え方,手順について

 ここでは,まず最初に,技術委員会,大会実行委員会のそれぞれの立場を明確にした上で,個別の技術や特定の製品の使用可否の判断について,それぞれの立場からどのように考える必要があるのかを整理して説明します。さらに「LiPoパッテリーの扱い」を例に,この考え方,手順についてケーススタディをします。

技術委員会(Technical Committee, TC)と大会実行委員会(Organizing Committee, OC)の役割

(技術委員会(TC)の役割)
 技術委員会は,大会において採用する競技ルールを決定する役割を担います。個別の技術や具体的な製品に対しては中立の立場を取り,実行委員会や参加者からの求めに応じて,それらの技術や製品を利用したロボットづくりに役立つ,学習のための資料や情報源の提供を行うことが任務です。
 ルールの決定において,以下に留意します。
  1. 教育の意義や効果と運営上の問題は明確に区別する。
  2. 競技が行えるための必要条件を設定し,その条件下で競技を行うことを前提とする。
  3. ルールに沿ってロボットづくりをする上で,新しい技術を学習することを妨げるものであってはならない。
  4. 個別の技術や具体的な製品を推奨や制限するものであってはならない。
  5. 世界大会で認められる技術であっても,その採用は国内事情で判断することを前提とする。ただし,1.や3.を前提に検討すること。
 ブロックやノードにおいて独自に技術委員会を構成し,ブロックやノード独自の競技ルールを策定している場合は,ブロックやノードの技術委員会は独自ルールに関してその内容に責任があります。ただし,その場合でも上の点には留意してください。また,そこで利用を想定する技術の影響が,独自の競技ルールの範囲を超える場合には,ジュニアジャパンの技術委員会に問い合わせを行い連携して検討してください。

(実行委員会(OC)の役割)
 ノード,ブロックを運営している者は,原則,ノード,ブロック大会において大会実行委員会の委員となります。実行委員会は,大会運営に責任を持つ立場として,基本的に以下を決定します。
  1. 競技を行う場所の広さ等の会場の諸条件や,規模や予算など大会実施の条件を踏まえて,大会参加希望者の学びの機会を奪わない大会参加の条件を決定する。
  2. 安全な運営などの観点から,技術委員会の定めるルールをもとに当該大会の競技ルールを決定する。
なお,
  • 「メディア露出許諾」や「安全リスク承諾」の用意,取得
  • イベント保険への加入
  • エントリーレベルの大会においては,参加者の学びの機会を与えられるよう,新技術に対する講習会,勉強会の開催
  • 日本大会・ジャパンオープンにおいては(もちろんノード,ブロックにおいても),メジャーの関係者と一緒になる機会
に配慮する事が望ましいです。

(世界大会における現地委員(LOC)の役割)
 国内大会の運営については,各大会実行委員会の責任で判断します。
 他方,2017年に予定されている日本で開催される世界大会において使用する技術は,日本の国内法や会場の使用ルールに照らし合わせて,世界大会の実行委員会(OC)と大会実行委員会(LOC)が判断します。その場合,ジュニアジャパンやその技術委員会には,日本国内での実施についての技術的なアドバイスや,運営面でのアドバイスを求められることがあります。その場合も,技術委員会の立場と実行委員会の立場は分けて情報提供を行います。

個別の技術や特定の製品の使用可否の判断の考え方

 先の技術委員会と大会実行委員会の役割分担を踏まえて,個別の技術や特定の製品の大会での使用可否の判断はつぎのような手順で行います。

【段階1】大会実行委員会,ジュニアジャパン関係者で問題の認知
【段階2】大会実行委員会より技術委員会に諮問
  • 特定のチャレンジにのみ関係する技術でない限りは,その技術に関する取り扱いはすべてのチャレンジで一貫して扱われるべきである
  • 最初の検討はあるチャレンジの技術委員会でされたとしても,それが他のチャレンジにも関わることであれば,他のチャレンジの技術委員会にも積極的に働きかけて情報の整理をすること
【段階3】技術委員会よりの情報提供を受けて大会実行委員会として判断
  • 特定の技術や個別の製品に関する取り扱いについては実行委員会が全体を見渡して一貫性をもって決定する
具体的な運用については,次のケーススタディを参考にしてください。

(ケーススタディ:LiPoパッテリーの使用について)
 2015年9月現在,「サッカーチャレンジにおいて多くのチームが利用しているLiPoバッテリーは取り扱いが難しく事故が起きる危険性が高いと考えられる。大会会場における安全上の理由から禁止すべきではないか」という問題がサッカー技術委員会で取り上げられ議論されています。
 現在,ジュニアジャパンの各技術委員会のメンバーは,技術委員会と大会実行委員会の両者の立場を持つ方が多数いらっしゃいます。技術委員会,実行委員会,ブロック・ノード運営委員のいずれにご自分が属するのかを意識していただき,それぞれの立場からの議論と行動がもとめられます。

 上の手順を適用すると,この件に関する判断は以下のような流れになります。理事会としてはサッカー技術委員会に【段階2】として,ノード大会が開始されるまでに資料を公表をお願いします。

【段階1】
 大会実行委員会がこの問題を認知し技術委員会に諮問することになりますが,今回は,理事会としてこの問題を一旦引き取りあらためて議論を求めた時点がこれにあたります。
【段階2】
 ここで,技術委員会に求められているのは,使用の可否の判断そのものではなく,あくまでLiPoバッテリーの特徴および取り扱い上の危険性,大会運営における留意事項や対応策について,参加者や運営者が最低限知っておくべき技術情報およびさらなる学習のための資料や情報源を整理して公開することです。
 技術委員会は,ロボカップジュニアの精神に則り,LiPoバッテリーに対して中立の立場で,当該技術に対する参加者の学習を促すべく最大限この要請に応えることが期待されます。さらに,専門性特殊性の高い内容である場合,専門家を招いた講習会などを企画,実施することも望まれます。
【段階3】
 各大会の実行委員会としては,技術委員会の公開する資料をもとに,安全面についての対策や責任の所在の明確化,万が一にも事故が起きた場合の補償方法などを検討の上,参加者の学習の機会も考慮した上で,チームによるLiPoバッテリーの使用の可否について判断します。

 なお,このケースにおける【段階3】での判断は一貫性を持たせることが肝要であり,LiPoバッテリーの扱いに関する決定は,サッカーのみとするのではなく,レスキューやダンスなどすべてのチャレンジに渡って適用すべきことになります。

 ノード,ブロック大会および日本大会/ジャパンオープンの実行委員会は,上記の情報提供にもとづいて判断をして参加者に周知します。大会によって判断は違って構いません。大会によるルールの違いは,参加チームが対処するものとします。

最終変更日:2015.9.19

2 件のコメント:

  1. レスキューへの参加を考えている者です。
    マイコンカーラリー出場時に自分で組み立てたセンサー部(センサ基板Ver.5)とモータードライバ(モータドライブ基板 Ver.5 )のプリント基板を使用したいのですが、これは規約に引っかかったりするのでしょうか?
    回答を頂けたら幸いです。
    (モータードライブ基板は9Vに耐えられるよう、こちらで改造をするつもりです。)

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